LOGINエドアルドは暗殺者なんだろうか。
その不安はあるけど、でも彼らは公爵で国王のために暗殺をしてきたんだろ? なら俺たちに刃を向けるだろうか…… そんなことあるわけない。 俺は自分にそう言い聞かせて、昼休み、エドアルドと食堂へと向かう。 「エドアルドは今日は何食べるの?」 「昨日はパスタだったから、今日はパンかなって思ってる」 ほんとに軽くしか食べないんだな。 エドアルドは俺より少し背が高い。たぶん百八十センチ近くあるんじゃないだろうか。 俺はたぶん百七十四センチ位だ。 エドアルドは細身とかじゃないし……半袖から見える腕はほどよく筋肉がついている。 パンとかパスタばっかでよく生きていけるな…… 俺は無理だから、今日はがっつりハンバーグ定食だ。 ふたりで並んで椅子に座り、食べ始める。 エドアルドはロールパンにハムやチーズが挟まれたものと、たまごごはさまれたやつ、それにベーコンレタスが挟まれたやつの三つのパンにスープを買ったようだ。 こうしてみるとけっこう量あるかも。 「エドアルドはなんで休学してたんだ?」 ナイフとフォークでハンバーグを切りながら俺は尋ねた。 「家の都合で。代々二十歳になると受け継ぐものがあってそれで休んで山奥にいた」 「……山奥? 山で何してたんだ?」 「勉強」 「何の」 その問いには沈黙しか返ってこなかった。 これは答えられない質問、てことなんだろうな…… しばらく黙ったあと、エドアルドが言った。 「……うちがどういう家系かは、知ってるだろう」 「えーと……毒殺を得意とする暗殺一家」 俺は手を止めてそう答え、横を見た。 エドアルドはベーコンレタスの挟まれたロールパンを持ったまま笑った。 「あはは、そこまでストレートに言われたのは始めてかも。普通、もう少し濁すのに」 「だ……だってにごしようがなくって……」 やべぇ……言われてみれば確かに暗殺とか毒とかもうちょいなにかこうふわっとした言い方あったかも。 わかんないけど。 あー、恥ずかしくて顔が熱い。 俺はハンバーグを口に放り込んだあと、ナイフとフォークを起き、水の入ったグラスを握り中身を口に流し込んだ。 「まあ、それは本当のことだし。今は暗殺なんてすることはないけど、次男だけがその技術を受け継ぐことになっていて」 次男だけが暗殺技術を受け継ぐ……? 辺りはざわめきに溢れているのに、俺とエドアルドの間には静けさが流れているような気がした。 「俺は次男だから、その技術を叔父から教わっていた。まあ、使うことなんてないはずだけどな」 「……暗殺の役割を担ってたのはまじなの?」 「それは事実だけど昔の……数百年は前の話だ。まだ王国が混沌としていた時代だし。今は平和だし暗殺なんてする機会ないよ」 「で、でも国王の……」 内心びくびくしながら、昨日メイド長から聞いた話を口にする。 すると、エドアルドはこちらを向いてああ、と呟き目を伏せた。 「陛下の妹君のことか。暗殺疑惑があるのは知ってるが、俺たちじゃない。セタリィ神王国て知ってるか?」 「え、いや……?」 答えながら俺は首を横に振る。 神王国……? なんだそれ。 「この国を追放された教祖がつくった国だよ。救世主が現れて国を救うとかなんとか言っている連中で、彼らは自分たちを追放したこの国を恨んでいる、という話がある」 「なんで追放なんて」 「税金は神の国に納めるべきだとか、神殿には神はいないだとか神殿の前で喧伝してトラブル起こしたり、人々は神の前で皆平等で王も貴族も商人も関係ないととき、終末論を唱えて人々の不安を煽り治安を乱したから」 ……あー……すげーなそれ。なんて言うだっけ……カルト? この世界、カルトとかあるのかよ、なにそれ怖い。 「で、国をつくったってすげーなそれ」 「山奥にあって最初は数十人しかいなかったらしいが、今じゃあ人口千人を越えているらしい」 千人って多いのか……? この世界の人口の感覚がわかんないから俺は、 「へぇ」 しか言えなかった。 「その国って、できてから何年くらいなんだ?」 「二十年くらいだったともう。だから先王の時代だな、追放どうのは。だから俺も詳しくは知らないけど、親たちは知っていて話を聞くことがあるよ」 「国って事は、国交があったりするのか?」 「セタリィを国とは認めていないが、交易はしているな。そもそも近いし、山で採れる鉱石や植物の取引をしているはずだ」 追放したやつがつくった国だから、国としては認めてないけど商取引は認めてるのか。 人流を制限しようとしても難しいか…… 町の周りを全て城壁で囲ってるわけじゃないもんな。 昔は戦争とか多かったから城壁で囲っていたらしいけど、今は戦争もめったになく、城壁の外にも町ができて人口が増えてるらしいから。 「じゃあ、その国のやつが国王一家を狙ってるとか……?」 「追放した教祖たちには恨まれているらしい。けれどもう二十年たつし、今さらどうこうするっていうのも考えにくいけれど」 二十年って長いよな……でもどうなんだろう。 「俺たちが王宮に引き取られたのも、暗殺者から守る為って言われたんだよな……」 ぼそり、と俺が呟くと、エドアルドは、 「やっぱりそうか」 と言った。 「不思議には思ったよ。小さな子供ならともかく、ルカは二十歳だろう? 働けるし、引き取らなくちゃいけない年齢でもない。なら何か事情があったのだろうとは思った」 この国じゃあ高校出たら働くのわりと普通だもんな。田舎ならなおさら。 実際俺は、高校出た後働いていていたんだから。 「だから俺、もしかしてお前が暗殺者なのかなってちょっと怖かったんだよね」 笑いながら言うと、エドアルドはゆっくりとこちらを見た。 う……怖い。なんか目が、怖いんだけど…… 「まさか。もし俺が殺す気ならまずこんな風に近付かない。すぐにばれるだろう?」 それもそうだよな。 ってことは、カルファーニャ家が暗殺の一族だったことを利用して、噂を流しているやつがいるとか? まさかそこまでやるかなぁ…… 「お前がいなかったら、ミャーコを家に連れて帰る決心がつかなかったし」 エドアルドは恥ずかしげに呟く。 ……ミャーコって名前つけたんだ、あの猫に。 「あはは、そうだよな。お前が俺を暗殺とかないよな。ねえ、今度猫見に行っていい?」 言いながら俺はずい、とエドアルドに顔を近づけた。 すると彼は驚きの顔をして、目を瞬かせる。 「え……あ、え?」 「ミャーコ。俺、また会いたい」 あの猫可愛かったし。 王宮じゃあペット飼いたいなんて言えないからな……馬とか牛、羊や鶏がいるけどペットとは違うし。 それに俺は、エドアルドの事をもっと知りたい。 どうやってマリアの攻略対象になるんだろう…… やっぱり俺がきっかけなのかな。 そんなことを考えていると、エドアルドは戸惑った顔をした後さっと、正面を向き言った。 「……まだ、怪我治っていないから、治った後なら……」 と、小さく呟く。 あぁ、そうか。足、怪我してるんだもんなあの子。 「それっからでいいよ。約束だからな」 すると、エドアルドはまた驚いた顔をして俺を見た後、正面に視線を戻して小さく頷いた。 「わかった」 「やったー、楽しみだなー」 初めて人の家に遊びに行ける。 そのことに俺の心は弾んだ。こんなに歩いたのはたぶん久しぶりで、カフェが見えたときはなんかすっげー安心した。 白い外壁に、青い三角屋根。看板には、店の名前と一緒に犬の絵も描いてある。 犬、いるのかな。 そう思って中に入ると、女性の声が響いた。「らっしゃいませ。何名様ですか?」「ふたりです」 エドが答えると、店員の女性はお盆を手にして言った。「お好きな席におかけください。今日は天気がいいですから、お外の席もおすすめですよ」 外の席? 言われて俺は、店内を見回す。 十くらいのテーブル席に、カウンター席。奥を見ると、扉があってテラス席に出られるようになっていた。 テラス席には犬の姿がちらほら見える。「外の席に行こうか」 エドにそう提案されて、俺たちはテラス席に座ることにした。 大きな屋根に、木の床。四つほどの席の内、ふたつに客がいて、どちらも犬を連れている。それに、茶色の大きい犬に黒い犬が二匹、テラスで寝そべっていた。 何だろうこの犬。ラブラドールっぽい。 犬たちは俺たちを見ても吠えることなく、大きな欠伸をして池の方を眺めていた。 椅子に腰かけながら、俺は言った。「犬だ」「ここ、犬連れの人がたくさん来るんだよね。あの子たちがいるのもあるし、ほら、ドッグランもあるから」 と、エドが教えてくれる。 カフェの横、池沿いに木の柵で囲まれた場所があって、そこで犬を遊ばせている人たちがいるのが見える。 なるほど。だからお店の看板に、犬の絵が描いてあったのか。「つうかドッグランなんてあるんだ……」「珍しいかな。王都でもあんまり見かけないね」「犬とか飼ってる人、こんないるの?」 ドッグランを走る犬を見ながら俺は言った。 猫は、エドが飼ってるから知ってたけど、犬見た記憶、ないような気がする。いや、俺が気にしてなかっただけか? そこに、店員さんがやってきて水が入ったグラスとメニューをおいていく。「おすすめはパンケーキでございます。お決まりになりましたら手を上げてお呼びください」 と告げて、去っていった。 パンケーキって言われると心惹かれるなぁ。 メニューには、二枚重ねのパンケーキに、シロップがたっぷりかかったカラーイラストが描かれていて、すっげーおいしそうに見える。 そのイラスト見ただけで、俺、お腹がぐう、と鳴りだす。 やば、ちゃんと朝飯喰ったのに
歩いていくうちに徐々に人の姿が増えてくる。 そうなったらさすがにエドは離れるかなって思ったけど、そんなことはなくって。 俺の腕を掴んだまま歩いていた。 俺は人の目、気になるんだけど、でもすれ違う人たちがわざわざこちらを見てくることもなくって。 若い男女が腕を組んで寄り添う姿も見かけて、こういうもんなのか? とひとり納得していた。 ゆっくりと走っていく馬車に、ぽつぽつと走る車たち。 何にもない、っていったら悪いけど、綺麗な景色がひたすら続くだけで皆何して過ごしてるのか不思議だった。「エド、子供の頃って、ここで何してたんだ?」 「池の近くにアスレチック施設があって、そこで遊んだりしていたかな」 と言い、彼は徐々に姿を現した池へと目を向けた。 アスレチックなんてあるんだ。それは楽しそうな気がする。「ルカは?」「え? えーと」 思い出そうとして出てきたのは、野山で妹のマリアと走る光景だった。 木で細工物作ったり、川で遊んだり。そんな思い出が頭の中に浮かぶ。「俺が育ったのはほら、山の中の田舎、だったから……川遊びとかしてたよ」 そう言いながら、俺は戸惑いを感じていた。 だってこれ、俺は知らないはずの記憶だから。 日本での記憶を思い出そうとすると、なんかぼやけてしまう。 小学校の運動会や、修学旅行。そういう思い出あるはずなのに……そのことがちょっと怖かった。 思わず口を押えて下を俯くと、エドの心配げな声がした。「ルカ、どうかしたの?」「え? あ……いや、なんでもない」 顔を上げて無理やりな笑顔を作る。するとエドは小さく首を傾げて言った。「そうは見えないけど」「だ、大丈夫だって。それよりさ、カフェ、あるんだよな。それどの辺?」 誤魔化すように俺は辺りを見回した。 ぽつぽつと建っている家。 庭先で水撒きをしているご婦人の姿が見えて、子供たちが走り回ってる。「もう少しだよ。このまま進んで、池沿いの道を歩いて行けばすぐかな」 そう答えて、彼はぎゅっと俺の腕を掴んだ。「ルカ、何か心配なこと、あるの?」 俺の様子を伺うように、エドが俺の顔を見つめて言う。 その問いかけに俺はドキってした。「え? あ、い、いや。そんなのないって」 しどろもどろになりながら答えるけど、これって何かあるって言ってるようなもんだ
翌朝。 目覚めると目の前にエドの顔があった。 え、なんで? って思ったけどすぐに思い出す。 そうだ、俺、エドと一緒に寝たんだった。 昨夜、エドと何をしたのか思い出すと、一気に身体中の体温が上がっていくような気がした。 俺、エドとシたんだ。 まさかそんなことにまでなるなんて思わなかった。 そう思って俺はじっとエドの寝顔を見つめる。 エド、まだ寝てる。 室内もまだ暗いから、まだ朝は遠いのかもしれない。 エドからほんのりと、甘い匂いがする。 薬の匂い、何だろうな。エドの身体に染みついているのかも。 そう思って俺はエドの胸に顔を埋めた。 この匂い、初めは何か変な感じしたけど、今は慣れたせいか心地よく思う。 その時だった。エドの目がうっすらと開かれ、俺をじっと見つめた。 やばい。起こした? ドキドキしていると、寝ぼけた声でエドが言った。 「ん……ルカ?」 俺の名前を呼んだかと思うと、腕が俺の背中に周りぎゅっと抱きしめられた。「おわぁ!」 嫌でも当たる、膨らんだアレ。 朝だし、俺だって勃起してるし、これは生理現象だから仕方ねえけど。 お互い裸だから、ダイレクトにあたるんだけど? 俺は恥ずかしさに身をよじりながら言った。「ちょ……エド、あたってるっての」「うん。ルカのも」 そう言いながら腕の力を緩めてはくれなかった。「当たり前だろ。朝だし」「でしょ。だから普通だよ」 その言葉の後に、欠伸が続く。「うーん、もう少し寝ていようよ、ルカ。俺、もっとこうしていたいから」「え、あ……」 エドは俺の額に口づけた後、ふたたび寝息をたてはじめた。 結局そのまま二度寝をし、部屋が明るくなった頃に目が覚めた。 朝食のあと、俺たちは外に出かけた。 王都は暑かったけどこっちはけっこう涼しい。 俺は思わず大きく息を吸った。 なんか爽やかな気持ちになれる。 木々の隙間から見える青い空に、ゆっくりと流れる白い雲。 こんな風に空、見上げたのは久しぶりかも知れない。「少し行くと池があるからそこまでいこうか」「池?」 俺の問いかけに、エドが頷く。「うん。散歩にもちょうどいいし。池の近くにはカフェもあるからそこまでいこう」 と言い、彼は俺の腕をそっと掴んだ。「ちょ……」 思わず俺は辺りを見回す。 辺りに人影はない。
エドのペニスを口にして、俺は懸命に舌を、頭を動かした。「んン……」 唾液が絡まる、びちゃびちゃ、って音がすげーエッチに聞こえてくる。 男のペニス、舐めたことなんてないからすっげー拙いだろうけど、エドが吐息を漏らすのが聞こえてきて、俺は嬉しくなった。 感じてるんだ。 俺はエドのペニスの裏筋を舐めて、先端の鈴口を吸い上げる。 するとエドは、俺の頭のそっと手を置き軽く腰を揺らし始めた。「いいながめ」 って言ってぐい、と奥までペニスを突っ込む。 苦しい。でも嬉しい。「気持ちいいよ、ルカ」 うっとりとした声で言い、エドは腰を動かす。 口の中でエドのペニス、どんどん大きくなっていく。先走りが口の中で広がって正直にがいし辛いけど、エドに気持ちよくなってほしくって、俺は頭を動かした。 これ、俺の中に入るんかな? そう思うとすっげー変な気持ち。 男同士のセックス、何するのかは何となくは知ってる。風呂で腹の中、綺麗にされたし。 エドと繋がるんかな。こんなデカいの、あの狭いところに入るのかよ? エドがずるり、とペニスを俺の口から引き抜いて、俺は思わず息をついてエドの顔を見上げた。「ほんと、可愛いなぁルカ。早く君と繋がりたい」 嬉しそうに言うエドに、俺は頷いて答えた。「俺も……エドと気持ちよくなりたい」 言いながら俺は、エドの勃起したペニスをすっと撫でた。「うれしいよ、ルカ。同じ気持ちで」「だって俺、エドのこと好きだし……」 そう言葉にすると、きゅん、と腹の奥が疼いてしまう。 エドは移動して俺の足を抱え上げると、ペニスの先端をすぼみにあてた。「あ……」 入るの? アレが。「ちゃんとゴム、するから」 と言い、エドはなんかごそごそとしだす。 ここゴムあるの? ファンタジー世界なはずだけど、ところどころつくりが雑じゃねえかな。 そう思った時だった。 「挿れるよ」 と、エドが言い、ゆっくりと腰を埋めた。「ひっ……」 慣れない異物感に、俺は短く悲鳴を上げて腰をひこうとする。 でも逃げられるわけがなくって、俺は大きく息を吐いた。 やばいやばい。きつい。 なんだよこれ。まだちょっと入っただけだよな? なのになんかすごい苦しい。「う、あ……」 口をぱくぱくさせていると、エドが覆いかぶさってきて俺の顔を心配げに見つめた。「
寝室の奥にお風呂があって、いつでも入れるようになっていた。 風呂は想像以上に広かった。 大人ふたり入っても余裕のある湯船。洗い場もけっこう広い。 「やば……ひろ……」 「王宮に比べたら狭いでしょ」 言いながらエドはシャワーをひねる。 「うわぁ!」 立っていた場所が悪くって、頭の上からもろにシャワーを被ってしまい俺は声を上げた。 シャワーから逃げる俺を抱き締めたエドは、笑みを浮かべて言った。 「ごめん、大丈夫?」 「だ、だ、大丈夫」 俺もエドも裸だ。 だからエドは俺の素肌に触れているわけで、おかげで俺、すっげードキドキしてる。 エドから離れようとするけど、彼はぎゅっと俺を抱き締めたままだった。 「ねえルカ」 エドが笑ってる。 何かを企むような目をして。 「な、何」 心臓をバクバクさせながら、俺は彼に答えた。 「綺麗にしてあげるよ」 と言い、彼は俺の背中をすっと撫でた。 綺麗にする。 の意味を俺は完全に勘違いしていた。 身体を綺麗にされるだけだと思ったんだ。 でもそれだけじゃすまなくって、体の中まで現れるなんて思わなかった。 風呂から出て、バスローブをまとった俺はベッドにベッドに寝転がっていた。 風呂入ってこんなに疲れるとは思わなかった。 そんな俺の頭を愛おしそうに、エドが撫でている。 二十歳超えた大人なのに、そんなことされて悦んでいる俺がいることにちょっと驚く。 室内に漂う甘い匂い。さっきより強い気がした。 「エド」 「なに、ルカ」 「この匂い……何?」 言いながら俺はエドの顔を見る。 するとエドは頭から頬へと手をおろし、俺の頬を撫でながら言った。 「あぁ、たぶん薬だよ」 「薬?」 「ここはね、色んな薬や毒について学ぶための場所だから。俺はここで叔父から色んな薬物について学んだんだ。だからここには、たくさんの薬物が保管されているんだ」 「ま、まじで?」 驚いて、俺は思わず身体を起こす。 「それって大丈夫なやつなの?」 そう問いかける俺に、エドはおかしそうに笑って言った。 「大丈夫だよ。あのね、ルカ。毒は薬に、薬は毒に。使い方次第で変わるんだよ。危ないものは鍵がかかっている場所にしまってあるし。でも匂いが
そのあとも、蛇の生殺しのような愛撫を受け続け、夕食の時間までふたりで甘い時間を過ごした。 正直身体、辛い。 だって、エド、全然俺のペニスに触ってくれなかったんだもん。 出したい。 そんな言葉で頭の中、埋め尽くされているのに。 エドは愛撫の手を止めると、妖艶な笑みを浮かべて俺の頭を撫でて言った。「夜までの楽しみだよ、ルカ」「エ、エド……」 俺はすっかり、エドの手のひらの中だ。 俺は俺の意思は俺のもののはずなのに、エドに操られているように感じる。 なのに俺、嫌じゃない。 もうすぐ夕食の時間だからと身支度を整え始めた頃には、窓からさす日が、オレンジ色に変わり始めていた。 何時間俺、エドに愛撫されてたんだ? 一時間か二時間か。いや、もっと長いかもしれない。 乱れた服を整えた頃、夕食の準備ができたという知らせが来る。「わかった、すぐ行くよ」 なにごともなかったかのようにエドが言ったあと、俺たちは一緒に部屋を出て一階にある食堂へと向かった。 思ったよりも広い食堂。 六人くらいが座れそうなテーブルに、俺たちは並んで腰かける。 夕食は、ハンバーグとご飯、スープにサラダ、それにワインだった。 「お酒……」 昨日の事が頭をよぎるけど、出されたものは残しちゃいけないっていう意識が強くって、俺はワインを飲み干した。 思ったよりこれ、強いかも。なんかふわふわする。 ぼうっとしていると、隣に座るエドの声がした。「ルカ、ワインつぐね」 って言ったかと思ったら、俺が制する暇もなくワインがつがれてしまう。「あ……」「開けちゃったからね、これ、全部飲まないと」 と言って、ハーフボトルのワインを俺に見せつけた。 う…… そう言われると弱い、残すの悪いと思ってしまう中身、現代日本人な俺。 俺は、ちょっとずつワインを飲み、食事を終えた頃にはすっかり酔ってしまっていた。「大丈夫? ルカ」「うーん……」 大丈夫だと思う。でもそこまで大丈夫じゃない。 俺はルカに連れられて部屋に戻り、奥にある寝室へと連れて行かれてしまう。 ふたつ並んだ、大きなベッド。漂う、なんだか甘い匂い。 エドは俺をベッドに寝かせると、当たり前のように俺に覆いかぶさって唇を重ねた。「ん……」「……酔った姿もかわいいね、ルカ」 満足げに言い、エドは俺の服を捲り上